演劇ワークショップ2005年度後期
*註:稽古場内で「ファリファリ」の愛称で呼称されていた訓練法は、
2007年度より「Fメソッド」と正式命名いたしました。
ファクトリー活動記録      
活動形態:演劇ワークショップ グループA・C合同
活動日:2005年10月24日(月)夜
記録者:T.SAKAI


今回は発語について岸田理生の戯曲『糸地獄』の中から2〜3行のフレーズ を覚え、吃語やのばす音(拗音)を用いて声を6人が順番に出し、残りの4人 が言葉の中で動いていくということを行った。

テラの公演でおなじみの吃音を出す声の出し方は、言葉に力を与える。搾り 出すような発語に不思議な力が宿る。しかし、林さんの語るように、記号として 言葉を成立させるためには、はっきりさせたい言葉は普通にはっきりと語る。 この言葉のメリハリになるほどと思う。

壁や椅子からの語りなどいままでの訓練の延長にある、伝えるという意図的 な仕掛けをどう瞬時に判断し発語していくのか。難しい。また、吃音と拗音を 合わせて用いていくことを、こちらも意図的に使う必要があると話された。岸 田理生の『糸地獄』をテクストとして用いていくとどんな世界があらわれていく のか面白くなりそうだ。

ファクトリー活動記録      
活動形態:演劇ワークショップ グループB
活動日:2005年10月26日(水)午後
記録者:M.DAI


@4人でテクスト台本(岸田理生作『糸地獄』)読み単調にならずに、客に聞か せることを意識。シチュエーション、役柄、出来事、関係性、を即座に読み取り 台詞の意味を感じる。

A一人(または二人)が外でテクストを読み、他の人が中で動く。吃音、長音、 テンポを工夫し、外で発語する側も身体に負荷をかける。

すると自ずと強い言葉が生まれてきて中の人を動かせる。また中で動く人は 客でもあり、演者でもある。身体と音で動く。

BFコア

CF基礎U
周りに溶け込む。<自分>は肉の皮で区切られている肉体ではない。死んだ ら終わりじゃない。自分じゃない自分を瞬間瞬間に残していく。幾千もの生命 体や細胞を身体と声で仕掛けて意識する。
    
D4人が外で発語、中で1人が受ける。

@とCを掛け合わせた応用編。発語する側は個人の持っているテクストを使 用。自分が発している言葉を聞き、中を動かす。自分、言葉、客、身体を常に 意識。

≪感想≫
発語する意味を実感。台詞と向き合い、込められた想いを大切にしていこうと 思った。

ファクトリー活動記録      
活動形態:演劇ワークショップ グループA
活動日:2005年10月26日(水)夜
記録者:M.NAKAMURA


はじめは、いつも通りファリファリ・F基礎U。基本テクストを用いて、身体の気 の流れを作る。

私はこのファリファリ・F基礎Uが好き。徐々に気の流れを高め、集中力の糸 を張る時間。普段は何気なく通り過ぎ、見過ごしてしまうような小さな事でも、 WSのこの2時間半の間はひとつも取りこぼさないように、身体と空気に神経 の糸を張る…。私にとってファリファリは、OFFからONへ、身体スイッチの入 れ替え作業なのです。今日は、いつもよりこの時間を大切に出来た気がす る。

『言葉を感じるという事』
次に、糸地獄のテクストを用いて、一方が言葉を発し、もう一方がその言葉を 受け取り、身体で感じる。さっそく動いてみるものの、いまいちピンとこない。 すると林さんが、音ではなく言葉と交信するようにと言った。私は今、「言葉そ のもの」より「発語の音」を感じていた。なるほど!!

発し方に捕らわれすぎず、その言葉が伝えようとしている「想い」「魂」を身体 中に感じ取り、表現する。言葉を感じるという事は、ただたんに単語の意味だ けではなく、その言葉を使った事で(発語することで)、何がどう変化するのか (感情なのか情景なのか…)を感じ取ること。

自分が意識していたポイントにズレを発見。今回かなりの収穫。何度やっても 毎回発見や思うところがある。頭で分かっても、自分で思うほど表現できなく て苦しむ事も多い。でも、こうやって毎回の発見があるからこそ、もっともっ と!!という向上心と探求心が尽きない。 おもしろい。 

ファクトリー活動記録      
活動形態:演劇ワークショップ グループB
活動日:2005年11月2日(水)午後
記録者:T.OKUMURA


十一月、初めのワークショップ。女の子五人で空間構成から。パターンは三つ で、じっくりたっぷり。

途中から『糸地獄』テクストを使い、読む人と、、曲、声を受けて動く人とに別 れる。次に、「山、山が、」?とつなげてく、?。連句?ですか。。

と、いつもと違うメニューで、わくわく、そわそわ。同期生が多かったせいか、 やりやすかったように思う。最後の言葉をつなげていくのは、今回初めてだっ たのだけど、ほかのメンバーのおかげで頑張れたというか、とても楽しかった し気持ちよかった。やはり、ファリファリは良いです。うん。 

ファクトリー活動記録      
活動形態:演劇ワークショップ グループB
活動日:2005年11月2日(水)午後
記録者:H.HAYASHI


気づくともう11月、ではないですか。早い!季節の移ろいは。

午後のWSはいつもと内容の組み立てを変える。「空間構成」をたっぷり1時 間、3パターンで実施する。

今日は体調不良者の欠席が重なり5名だったので、こってり濃密空間を作っ てもらった。集中力と体力。そのあと、『糸地獄』を二人で読み、それを受けつ つ3名は身体動作を継続させてゆく、のを30分。

最後に「連句」。『糸地獄』を念頭に動作と発語の連携を行う。どれもいい感じ だった。5人が身体感覚において、共通の土俵を作れるメンバーだったから、 自然とからだも声も即興的な連句も、つまりどれも難易度が高いのだが、よく こなせていた。

ファリファリ応用版、たっぷりの巻。



ファクトリー活動記録      
活動形態:演劇ワークショップ グループC
活動日:2005年11月2日(水) 夜


夜は逆に基本員数(10名)を超えてしまって部屋が手狭になる。先月見学に 来た佐藤由紀さん(23)が今日から加わる。舞台芸術学院ミュージカル科出 身の方。はじめは腰を落としたり、ファリファリの基本運動も慣れると身体が ほぐれて楽しくなるのだが、慣れない内はしばらく苦労するかと思われるから 急がずゆっくり行ってもらいたい。新たに今日、見学で根木知子さん(25)来 場。事務所(モデル系)所属の方。お二人ともネットでホームページを見ての 来場。

シアターファクトリーのHPはどこにもリンクしていないから、よくぞ発見したと、 まずは感心。佐藤さんによると検索で「演劇ワークショップ」の欄が何ページも あって、200以上の演劇ワークショップがあり、その中から選んでのことらし い。えらい!あなたは見る目がある!

そお、演劇ワークショップ大流行の昨今、しかし、何を隠そうここの「演劇ワー クショップ」は演劇ワークショップの日本での先駆け、元祖の一つなのです。ま だ誰も、どこも「演劇ワークショップ」などと行っていなかった時からやっている 老舗ですよ(笑)。

まあ、受け入れられる人数は限りがあるから今くらいで十分なんだけど。一回 のクラスにせいぜい10名、これが私の相手できる基本キャパなので。

で、今日のワークショップCはたっぷり二時間、ファリファリで汗を流してもらっ た。熱い11月の夜、でした。

ファクトリー活動記録      
活動形態:演劇ワークショップ グループB
活動日:2005年11月30日(水)午後
記録者:S.UEDA


T学院卒業公演が控えている林ゼミ5期の岸さんも体験参加のなか、まずは ストレッチから…続いて、林さん持参のBoa韓国語Ver.の曲をバックに筋肉 トレーニングへ。のち、各々で発声。お次は、ニ組になり、相手を受けて、移 動も交えF基本運動。そして始まりました、F基本運動→「ヨカナーン!!」。さ あ、感性を研ぎ澄ませて・・・。

◆ハコを作り三割〜九割で基本テクスト発語。フォルムチェンジを行い、トップ まで。続いて、指名された者一人が基本テクスト発語。周りはそれをうけて。 最後は全員で、抑えたところからトップまで。Fサークルへ。

◆基本テクストで、場をもたせる。エネルギーを落とさずに。林さんの合図で、 順不同、テクストも自由。サークル内の波長が高まった時、別役テクスト(『正 午の伝説』)組と石澤テクスト(『やよいの空は』)組でさらに密度を濃くしてい く。
のち、互いの高まったところで、『やよいの空』でも『サロメ』でも良し。各々で。 林さんの合図で、そこにあるエネルギーを壊さないように(立つもよし、這いつ くばるもよし)抜けていく。これも各々。

[アタマ]と[ココロ]と[カラダ]と[コトバ]すべてを使って、この一度しかない場(サ ークル)をどうつくるか…。特に、哺乳類のなかで人間にしかないもの【コトバ】 をどう操るか、扱うか。

その為に、日々の積み重ねと、物事を視る力、感じる力を養っていきたいと思 う、水曜日の午後でありました。Bグループさん、お邪魔しました。 

ファクトリー活動記録      
活動形態:演劇ワークショップ グループC
活動日:2005年11月23日(水)夜
記録者:A.KOYAKUMARU


そういえば、WCに新しい方が2名程入られました。そして、気付けば私も始 めて半年が過ぎていて。でも、焦ってはいなかったり。

今日はいつものようにFコアをやった後、階段を使って…あれは何と言うので しょう…(*基本動作を主体とした歩行エチュード)とにかく、みんなで歩きまし た。それぞれでテクストも使って。始まるや、皆さん揃って階段に向かって歩き 始めているように見えた私は、何となく輪から外れてみました。

擦れ違う人の口元から、言葉が聞こえてくる。耳がそれを聞きたがり、心は何 処か同調を求め。行ってしまう者ならば、それまで。ただ、距離が一番近くなっ た時の感覚が、確かに相手に影響されている。気付けば周りから伝わってい る、何か。それは空気か情か、もっと入り交じったものか。背後で誰かがスゥ と息をすれば、階段の上では誰かが叫んでいる。呑まれてしまいそうになる手 前で自我を繋ぎ止めて。あの独特の空間は、日常では味わえませんね。

私はまだまだまだ未熟者ですが、自分なりにファリファリの快感みたいなもの を感じる時があります。先輩方にやりにくいと思わせてしまっているだろうなぁ とか、気になってしまうこともありますが…。今はとにかくやってみるしかない のです。「ヨカナーン」と叫ぶと、私も知らない自分が顔を覗かせ、もっとやって みせろと挑発してくるので(笑)  

ファクトリー活動記録      
活動形態:演劇ワークショップ グループA・C合同
活動日:2006年1月11日(水)夜
記録者:M.KOGURE


新しい年が明けて初めのWS。
其所には何時も通りの、でも刻々と変化を遂げる空間が在った。

まずはFコアから。
鈍った躰からデトックスを出し、気を流す。
常に流動する空気を上手く纏うのは難しい。
頑に閉じた自分の殻に気付かず、惰性に押されてしまう。
冬場は特に固く、なかなか柔らかくならない。。。
Fサークル。主観と客観、二つの己が葛藤する。
今の私は客観的に見ているつもりの自分に脅え、
実は主観的になっているのかも知れない。

無限のループに填り込む。
「今此処で斬り込むべきだ!」というところで
何時も私の中の《何か》がブレーキを掛けてしまう。
機を逃すとはまさに。そしてその機は二度と戻って来ない…。
《何か》は何なのだろう?
萎縮。傲慢。偏見。放棄。恐怖。
そんな言葉では表せない、巨大で透明な壁が私の前に在る。

壁を壊して傷付き死んで再生する…。

その時初めて自分世界のの殻を破れる。

気付いた、今。

まだまだ、先は、遠い。
それでも、知ってしまったこの世界の感覚は忘れられません。。。

ファクトリー活動記録      
活動形態:演劇ワークショップ グループA・B合同
活動日:2006年1月23日(月)夜
記録者:A.SODA


Fエチュードを前半、後半に取り入れたWS。
エネルギーを作り上げていくFサークルに対して、
Fエチュードは空間を練り上げる作業。

この違いを考えながらやるともっと面白くなるのでは?
と思ったのが感想です。
Fエチュードはサークルより制限が少なくより個々が際立つため、
空間を構築する課程がFサークルよりも複雑になると思います。
一人一人の意図が明確に出るのがFエチュードだと思うので
Fサークルよりも一段階上の作業だと思ってます。
今回はFサークル的な瞬間が多かった気がします。
直接エネルギー量が高まるような絡み方も良いのでしょうが、
今回は、ばかりになっていたと思います。
もっと空いたスペースやルートを意識してそれぞれがそれぞれで
動きそれが渦状になり、空間へと練り上がっていけるようになると
良いんだと思います。
アクティングエリアに入るにしても、入ったら言葉を言わなければいけない
という様に見える時もありました。誰もやってませんでしたが、
ただエリア内を通り抜けるという行為だって空間を創る
ということを第一に考えていれば可能な行動だと思います。

自分への課題は今書いた事とスタミナですね。
時間が延びると判断力が弱まるので。 


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