藤野合宿03
合宿リポート 根岸佳南江
2003年度
【創作記録 『―サロメ抄―』】
何の因果か又急遽パートナーが居なくなり、内容も大体のイメージで前回とは 違うアプローチでやってみたいとしか考えていなかったので、一から考える「産 みの苦しみ」を味わいました。

前回は「ヘロデの長台詞」「風船」'を使って[滑稽さ]をメインテーマに考えたの ですが、なんだかやり切れず、一人の孤独感から逃避しがちだったので、今 回は逃げずに考えようと踏ん張っていたら何だかオカシクなってしまったの で、もっと単純にストレートにいこうと決め、準備するものは白を基調にして揃 えました。

今回は「サロメの台詞」の中でも、ヨカナーンに話し掛ける言葉を抜粋して使 用しました。全ての台詞は長すぎるので、ほぼ出だしの台詞だけです。[受け 入れられない切なさ]が大まかなメインテーマなのですが、その受け入れられ ない切なさ、もどかしさから殺すまでに至ってしまう狂気はとても恐ろしいもの だけれど、誰もが内に秘めているモノなんじゃないかと思い、そこから日常の 生活に結び付けてみました。

吉田 健二  【創作記録 『変身』】
合宿の一週間程前、二人で創作が決まった時に、選曲はどうするか構成はど うするか、二人でさんざん悩んでいました。考えるのが苦手な私たちがその末 に出した結論は、もう考えるのはよそうということでした。

つまり自分たちのひらめきから発想してゆくことになったのです。「変身」という 言葉から作り出すのではなく、自分たちが感じたことを「変身」にしてゆこうと 思ったのです。 

私たちは自分から作り出す音(手をたたくなど)を作品にとり入れたいと思いま した。できるかぎり体を使ってゆきたいと思ったのです。そして私たちは音を 使う表現を「変身」に近づけていったのです。

合宿初日、本格的に二人でやることが決まったあと、ひたすら体を動かし音を 作り続けました。持参の小型ナベを棒でたたき高い音を出したり、激しい音を 出すためにイスを利用したり、布をふり回して風のような荒い音を作ってみた りしました。

音というものがどのように「変身」なのか最後はそこまで悩みました。たぶん 「変身」というものは「生まれる」「生み出す」と近い意味を持つのだと思いま す。世の中はどんどん新しい物が生まれて変化を続けています。私たちの作 品もさまざまな変化にとんだ作品にしたいと思いました。ですから構成はほと んど考えずに心で感じたまま動こうということになりました。

本番私たちは舞台上でとにかく動きました。それは構成もなければセリフもな い、芝居からは離れた私たちの「変身」であったと思います。


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