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選択小説:『海と毒薬』(遠藤周作)
使用曲:「ノクターン」(作曲 グリーク)
「日常」を生きてゆく人々。その中で「非日常」を感じる自分が存在している。
その事の「差異」。果たしてその「差異」は誰の中にでも在るのだろう、か。そ
れともーーー。
人は「生きる」為に食事をしたり、歩いたり、時間を気にしたり、する。同じ様に
「生きる」事をしている人々の集合体。しかし、自分は「生きる」事に疑問を投
げかけていく。世間のしがらみから強要される、「生きる」とは正反対の「死
ぬ」という事。「死ぬ」を犯してまで「生きる」事をやめない人々に対して、嫌悪
感、焦燥感、劣等感、様々な感情の波が静寂の中から押し寄せてくる。何処
か遠い世界に取り残された様な真っ白な、広けた、それにしては押しつぶされ
てしまいそうな行き場のない自分の「空間」。その中から、自分の「観念」から
は逃れる事が出来ない。そして「死ぬ」と「生きる」の狭間に立ち、もう問う事を
やめ、ただ空を仰ぐ。他にする事も見つからず、ただ、空を仰ぐ。空を。
―羊の雲の過ぎるとき 蒸気の雲が飛ぶ海に
空よ おまえの散らすのは 白い しろい 綿の列
(空よ おまえの散らすのは 白い しろい 綿の列)−
【発表を終えて】
さい[差異](名)ちがう・こと(点)。ちがい。
偶発的な出会いに衝撃を受けた三日間でした。一人ひとりが同じテーマで、
全く違うものを創造してくる人間の考え方の「面白さ」、そしてそれを合わせる
事によって新たな「面白さ」が生まれます。今回は山内さん、佐々木さん、安
藤さん達の作品と出逢い、創られた訳ですが、もし一人でも違っていたら今回
の作品は永遠に創られる事は無かったでしょう。そう考えると益々惜しい事を
してしまいました。今回は「創りこまない」創作でしたが、機会があれば「創り込
んだ」創作を模索、探求していきたいですね。本当に私の財産になりました。
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