藤野合宿05
合宿リポートと試演会評 4

A.MASUNAGA

合宿総括

去年の目標は『自分自身を見つめなおすこと』、今年はちょっと進んで、『見つ めなおした後、何かをつかむこと』。

コンセプトを変えずに如何にシンプルに絞るか。二週間しか与えられていない 状況で(モノプレイをやると決まった時期がニ週間前だった)最善を尽くすこ と。

『人間という生き物はちょっとしたことでも悩み、立ち止まり、死のうとする。そ れは悪いことではない。しかし、狭い世界に固執したまま、それを善しとしてよ いものだろうか?

「他人」とよく言うが、すべての物は繋がっているのではないか?ヒトとヒトも、 空気も、緑も、世界も皆何かの一部であり、他のものなのだ。すべての事柄 は全て繋がっている。積み上げてきた物だって一瞬で消える。箱庭であって も。形を変えていく、形が変わる。恐れてはいけない。変わること自体が物事 の本質ではないのだから…』(去年藤野合宿総括より)

中心コンセプトは「エロス」「溶ける」「箱庭」の三つ。
テキストに選んだのは金原ひとみの「AMIBIC」それから「ゴンドラの唄」
去年作った『箱庭』のモチーフをベースとしながら、上記の総括に繋げていけ るようにテキストを組みたてていった。

さくっと終らせるつもりが(当初の予定では5〜7分以内)空間が上手く使えず に思ったより時間がかかってしまった。台詞の組みたてもその場その場での 状態でだらだらへと変わっていったので、もう少し詰められれば良かったと思 う。なにより、『相手に届かせる事』が出来たか否か。そして、吉田健二さん・ 江口和樹さん・大美穂さんと組んでやるということ。構成から観た融合を如何 に魅せるか。話し合いは難航した。しかし、結果は良かったのではないかと思 う。それは、出来、不出来ではなく、自分の中に得た他者理解への挑戦。何を 主体にするかの食い違いをきちんと消化、まではいかなかったけれど、お互 いが何を求めているかを考え、話し合うことは出来たと少なくとも思っている。

もっと、魅せられることが出来たら良いのに。もっと、自分を開いていくことが 出来たら良いのに。反省と欲望は尽きない。


試演会感想

佐藤多美子さん
潜ってから出ていく。体内巡りをしているような感覚。白いベールは結婚と墓 標、ケーキに見たてた人と殺人欲、実際は全て母親(菩薩様)の手のひらの 中で行われているのかも…

長尾みわさん
人間じゃないのかな?と言うことが最初に頭の中をよぎりました。
次第に言葉を話し出したので人間なのかとも思ったけれど、言ってることが繋 がらず、この人物はなんなのだろうと感じました。暗闇の中で手探りで音を求 めているような風に感じました。

松本真澄さん
ストーカー・操られていく・繰り返す音…軽快なリズムに乗ってだんだんと縛ら れていく私、あなた。気がついたらそこは抜け出せない迷路。パンダのぬいぐ るみという可愛らしさの裏の狂気。

渡辺いくみさん
三人で糸を引っ張る部分がとても効果的だと思いました。言葉・思考・記憶・ 行動の連鎖。



斉藤麻衣さん
遠かったのがもったいなかった。モノプレイ、なのではあるが、斉藤さんがや る意味、王女メディアのテキストを使う意味を考え、突き詰めていくと良いと思 った。

佐原由美さん
禁じられた遊び・多重人格?存在が面白いと思いました。
子供であるということと、大人であるということの狭間をもっと出していけたら 良いなと感じました。

田口愛美さん
ちょっと他の人と違うアプローチの仕方。普通→狂っていく過程の変化がもっ と感じられたら凄く面白くなると思います。小物が面白かった。(飴玉・めとろ のーむ?)

小暮美幸さん
自分にはない世界観をばーっと広げていける、一瞬にして世界を確立するこ とが出来る。羨ましいと同時に、詰めていく方が良いのか、全く違うものを見て みたい気も…で葛藤する作品。



酒井忠親さん
オセロは白と黒の盤上の世界で戦っている…というような意味だったのでしょ うか?テキストとの関連がいまいちわかりませんでした。あまり、少年Aのテキ ストが生かされていなかった気がします。

西康寛さん
今回見た中で一番「おや?」と惹かれた部分がありました。タイミングや、間の 取り方…西康寛という人物の心の中に少しだけ立ち入ってしまったようなちょ っとした罪悪感を共有してしまったような感覚。

長谷川直哉さん
良くも、悪くも、『破壊。』


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