藤野合宿07
合宿リポート

H.SANO


三日連続(木曜日から数えると四日連続)のFでした。

いつもなら、何か足りないまま終わってしまうと感じるところを、一 日また一日と重ねる事によって、何かが掴めそうな感覚がありま した。普段と違い、この合宿でしか滅多に交流できない方も沢山 いらっしゃいました。諸先輩方とのFを通して、前にも後にも言わ れた『内発性が足りない。他者に依存的』が、更に浮き彫りにな った気がしました。

正直、自分では自分がわかりにくい。だからもっと出していかな ければ、浮き彫られるものも見えてこない。内発性に欠ける。依 存性が高い。21年かけて根本がそうなのだとして、他者とも自分 とも対話し続ける事に、倍以上懸けたらどうなるのだろう。と思い ます。自分が本当に懸けて、懸け続けられるものは何だろう。と 思います。それを考えると同時に、振り返る事もしていかないとと 思います。

夜、交流会の場で上田さんが『仮面を外していく作業』について、 お話してくださいました。「演技・芝居をする時は『仮面を被る』と いう言い方をするけれど、逆。たくさんの日常シーンで使っている 仮面を、どれだけ外していけるか。それにはFが、ベスト。」と。

Fメソッドと出会い、私は約二年と半年。途中、外部の公演で半 年近く休会しました。不器用なくせに焦り癖がある私は、合わな い・何かが私に違うんじゃないかと頭で悩み、いつやめてもオカ シクナイ状態でした。それでも今も私はWSに通っています。何で 通っているのかと言ったら、体が必要としているからと、そんな気 がします。


合宿での三日間は、楽しかったです。体にとってはプラスの面 と、自分自身のマイナスの面がみえてきたからです。林先生は私 に対し「頭は良くない、なのに頭で考えている。『知識』としてはい っぱいあっていいけれど、そうじゃない。」「一つの事に集中して 探求(探究?の方でしょうか)していくと良いと思う」と、とても有り 難いアドバイスを下さいました。もしかしたらそれすら『頭で』受け 止めている状態かもわかりませんが…(それは本当に怖い事で すが)。

今までは多忙さにあれこれ挫けながらも、これからは『焦らず。』 を大切に。
続けていきたいと思います。


試演会の感想

A矢部さん『ドッペルゲンガー』
…ぐるりと囲む鏡が、「目」沢山の視線に見えました。背後にあ る、一番大きな鏡。最後はそれと向き合うけれど、こなごなにでき ない。「私」は「私」によって破壊される。破壊しなければ。でも打 ち砕けない。ふりまく愛想、自分への批判、懐疑。そんな印象をう けました。

B岸さん『夢のつづき』
…破壊、暴力、衝動の波。最後につぶやく「彼女はまだ4歳だっ た」。やわらか、無抵抗、無力、儚い、散る、死、のイメージ。
遠巻きに感じる親近感が怖かったです。というのは、実生活で行 為に及ばずとも、頭や考えの中では実行しているという事で、表 面では驚きつつ、嫌悪感を持ちきれない自分がいるのだと思い ます。振り返ると、『ツアラトストラ』を観た時に感覚が似ていたか もしれません。


C佐藤さん『無題』…Bにも感じた事ですが、「数を数える」行為 が、時間の流れ、せまる制限、確実に進み・増えるもの、逆にそ れ故に失うもの…人事に通じるように思います。
先輩方は、経験故でしょうか、存在感や空間が「居る・在る」感覚 が伝わります。強くあります。


D河合さん『ぶぅん×2』…「試しにそこの教室を覗いてごらんなさ い」(中略)「そう、これは容れ物なのです」「何を入れるのでしょう」 「そう、人間です」(恩田陸『六番目の小夜子』より)。
高校時代に読んで、衝撃的だった記憶がある一節です。箱に入 れられる空き缶達。ナカミをノマレて、空。飛びたい。飛び降り る。足場をひっくり返され、転がる缶。そのとき、ひっくり返した 「人」は、共に痛みを感じていたのでしょうか。


E酒井さん『サイレンス』…昔、誰かが「日本人はバナナだ。外が 黄色、中が白。」と言っていたのを、何だか思い出しました。
「輪郭だけ」の日の丸国旗。中を埋めていた赤い…血は?興味 を捨てて、どこかへ消えた?

F吉田・江口組『ブランドン農学校のぶた』…必死。空間の使い 方や居方が多種多様。展開の仕方がおもしろい。わからない。 おもしろい。わからない…の繰り返しで、途中どんな経路を通ろう と果ては皆、死んで小龍包(ぶた肉…)。。笑いましたが、笑えな い、どこか切なくもありました。



創作ワークにかついて
四人一組で空間を構成する創作ワーク。自由時間が多かったに もかかわらず、話し合いの時間は自分達から特に設けようとせ ず(内発性…)。お互いの軽い説明と雰囲気だけ頷き合って、順 番を決め、作ってきた自分達の持ち時間5分を深く伝え合おうと せず。リハで調節。先輩方からアドバイスをいただき、


本番。


私の使用テクスト『サロメ』は、正直「触発」されたものではありま せんでした。時間がなかったから。覚えやすかったから。そんなと ころで選んではいけないものです。終わって、私の創作ワークに 一番疑問を持ったのは私自身のように思います。芯深くないまま の、創作ワーク5分間でした。テクストに対して、共鳴・共震してい なかったし、また自分なりの解釈をして発していませんでした。

四人で同じ空間を構成した「はず」なのに、『単発5分×4』という そんな空間…空気でした。話し合い、リハ、本番前、やっている 最中……なんと「眼」が閉じているんだろうと、ショックでした。

林先生から、「WS一・二年目のメンバーは、まじめすぎる」と言 われました。創作ワーク・試演会が終わってみて、確かにその通 りでした。

しかし、『焦らず。』。5分どころか1分も30秒も納得した部分がな い自分を認め、熟考し、体と向き合い、また次へ望みたいです。



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